あるアメリカ人のドイツでの医療経験が、米国社会に小さな波紋を起こしました。
移民者に対する米国社会の偏見についてのエッセイを書いている、イラン出身のアメリカ人作家、フィルゼデュマさんは、ニューヨークタイムズのコラムに、ドイツで手術を受けた経験を掲載しました。これを見ると、二国間の医師の間には、患者への薬の使用に対する認識など、医療哲学に大きな差があることが分かります。
★「痛みは生活の一部です。私たちは、これをなくすことができないし、したくもありません」
★ドイツの医者は、米国手術患者に鎮痛剤を与えなかった。
デュマは、「ドイツで手術を受けた後、ハーブ茶ではなくバイコディン(Vicodin)が欲しかった」というタイトルで、子宮筋腫切除手術を受けた経験を記事にしました。彼女は、夫の仕事のためにドイツに移住してから4年目に手術を受けることになりました。
1年前、夫が仕事を辞めビジネスを始めましたが、幸いなことに、ドイツの医療保険の給付を受けることができました。また、医師からは開腹ではなく、腹腔鏡下手術(開腹せずに小さな穴を複数開けて、ビデオカメラと各種器具を入れて実施する手術方法)をするので、手術当日に退院できるといわれました。デュマは退院後の痛みが最大の心配事でした。
デュマがアメリカ人としてナンセンスと思った経験はここからです。デュマは、手術前に産婦人科医に手術後の痛みについて尋ねました。ドイツの医者はデュマに、鎮痛剤であるイブプロフェンを処方しますと答えました。この薬は、子供の風邪薬シロップにも入る非常に弱いレベルの鎮痛剤です。
デュマは「それは頭痛程度の軽い痛みに使う薬ではないですか?内蔵を切り取る手術なので、それより強い鎮痛剤をください」と言いました。また、手術を担当する外科医にも同じ質問を投げましたが、この手術には麻酔成分が含まれている鎮痛剤は必要ではないと言わんばかりでした。彼女は最後に、麻酔科医に「イブプロフェンを処方すると聞きましたが、手術後数日はコデイン(Codeine)成分の鎮痛剤を2、3個飲まないといけないのではないですか?」と助けを求めました。すると麻酔科医はデュマに言いました。
「痛みは生活の一部です。私たちは、これをなくすことができないし、したくもありません。痛みがあなたを導いてくれます。
痛みは、あなたがどれほど休む必要があるかを語って、治癒の過程を教えてくれます。バイコディンを飲むと、痛みは感じなくなりますが、あなたの体の声も聞こえなくなります。そうしたら鎮痛剤に頼って無理をするかもしれません。
あなたに必要なのは休息です。イブプロフェンも注意してください。腎臓に良くありません。必要な時だけ飲んでください。休めば、あなたの体は自然に治ります。」
- <ニューヨークタイムズ>に掲載されたフィルゼデュマさんの記事の一部
http://www.hani.co.kr/arti/society/health/830206.html
<中間省略>
韓国の治療は、二つの国のうちどちらに近いでしょうか?現役の医療関係者の経験によると、韓国はその中間になります。
有名大学病院の麻酔科専門医は、新聞社に "両国で患者の医療経験が違うのは、医療哲学に関する問題ではありますが、医師の好みでもあります」と述べました。
彼は「一般化することはできませんが、当病院は腹腔鏡下手術で子宮筋腫の除去を受けた患者に、入院治療の間は、痛み自己調節装置(PCA、Patient Controlled Analgesia)を通じて薬物性鎮痛薬の投与量を患者が調節できるようにしています。
痛みは主観的なものですし、痛みを我慢することだけが能ではないからです。医学的にも、苦痛が強いとストレスホルモンが分泌され、患者の健康によくありません。もちろん、この場合に投与量を制限しています。退院後は麻薬性鎮痛剤を処方することはあまりありません」と述べました。
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この記事を読んだ時、マイケルジャクソンをふっと思い出しました。彼は過剰な薬物摂取により、呼吸停止で突然死に至った可能性が高いと言われています。「痛みは生活の一部です」という医者とマイケルジャクソンが出会っていたら、彼の人生も変わっていたかもしれません。
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